ドローンを使った建物調査、赤外線解析で増す正確性 実地調査は1日のみ 調査報告書は2週間で完成

2020年12月12日

 外壁調査や12条点検にドローン技術を使うことで、 足場を組んだり仮設ゴンドラを設置するなどの作業工程を大幅に減らし、コストの削減が期待できます。

ドローン・フロンティア / ドローンを使った外装点検

 ドローン・フロンティア(東京都足立区)は、赤外線カメラを搭載したドローンを使い、外壁調査を行っています。大規模修繕の際に工事内容を決める積算、漏水点検、建築基準法が定める10年に1度の外壁点検、いわゆる12条点検といった業務を引き受けてきました。ドローンを使えば足場を組む必要がなく、コストやリスクを抑えて点検できます。全国で年間100棟以上の実績があります。

(表1)赤外線カメラを搭載したドローンでの点検実績

 これまで、外壁点検や漏水調査は、足場やゴンドラを用いた実施が一般的でした。この場合、足場を組むのに1カ月、ゴンドラでも1週間ほどの期間を費やしていました。ドローンによる点検では、最短で半日で実施できます。そのため、従来工法と 比較して1/3~1/4の期間で調査が完了します。

(表2)ドローンによる点検と他の方法の工程比較

温度差でわかる壁面の劣化状況

 また、外壁の赤外線調査を空撮により行うため、これまで目視できなかった部分でも、周辺との温度差を確認できます。これにより、肉眼で確認できなかった外壁タイルやモルタルの浮きを検知できます。太陽光が入り込む部分は熱を持ち、漏水・浸水している部分の温度は低くなるため、壁面の温度差から異常を発見できるのです。赤外線調査は、12条点検において打診に代わる方法として認可され、信用度を高めています。

▲赤外線カメラで撮影した画像の比較

解析専門会社をグループに

 2020年7月、赤外線データの解析を得意とするエアロエムズ(神奈川県藤沢市)をグループに収め、現場調査から解析まで自社で完結する体制が整いました。これにより、調査結果を提出するまでのスピードが上がり、費用面でも大幅なコスト削減が可能になりました。例えば、都内タワーマンションの外壁点検では、約2週間で解析結果を提供しました。

▲実際にドローンで撮影した動画

【調査費用目安】

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操縦者の養成や、空撮事業も

 ドローン・フロンティアは2017年3月に設立、創業以来ドローン技術を使った新市場の開拓を掲げ、現在の5つの主要事業を推進してます。建物の点検のほかに、テレビなどで使用する空撮、ドローン機器の販売、ドローン操縦者を養成するスクール事業、企業におけるドローン運用のコンサルティング事業です。これまでは技術者が足りていなかったため、スクール事業が軸でしたが、近年は点検事業の売り上げ比率が高まり、事業の柱に成長しました。

 府川社長は、24歳で清掃会社を立ち上げました。事業は成長軌道に乗っていましたが、まだ市場が確定していない新産業で仕事をすることへの欲求が抑えきれなくなりました。「清掃業という、すでに社会にある事業を拡大する仕事に、面白味を感じられなくなった」 (府川社長)。その頃、経営パートナーからドローンの話を持ちかけられ「ドローンの技術に可能性を感じ、これからの市場をつくる仕事にチャレンジしたいと思った」といいます。これが、ドローン・フロンティア設立のきっかけです。

 1年目は、ドローンの認知度が低く、建築業界に人脈も無かったため、業績は泣かず飛ばずでした。撮影や解析技術の向上と、人脈をたどった営業活動により、少しずつ導入企業を増やし、現在は紹介案件も入るようになりました。「建築業界でドローンの使用経験がある事業者は数%にとどまる。業界のスタンダー ドになるまで、認知度、技術力とを高めたい」(府川社長)

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【商品概要】
名称:ドローンを使った外装点検

【会社概要】
社名:ドローン・フロンティア
設立:2017年3月13日
代表取締役:府川 雅彦
事業内容:ドローンによる空撮・映像制作、ドローンによる建造物点検(可視光・赤外線)、ドローンビジネスコンサルティング、ドローンスクール「アジアドローンカレッジ(ADC)」の運営、ドローン及び周辺機器の販売
本社所在地:〒120-0026東京都足立区千住旭町38-1 東京電機大学千住アネックス 4F
連絡先:03-5284-7594