ソフトクレーム、入居者間トラブル 賃貸管理会社に代わり元警察官が対応

2022年04月13日

 ヴァンガードスミス(旧:レジデンシャルペイメント)(東京都港区)が提供する『近隣トラブル解決支援サービス・mamorocca(マモロッカ)』は入居者同士のトラブルや、近隣からの迷惑行為といったソフトクレームへの対応を元警察官が引き受ける、日本初のサービスです。新型コロナウイルス下で在宅時間が長くなり、騒音問題や嫌がらせによるトラブルは増加傾向にあります。それに伴い賃貸管理会社の業務負担が重くなっており、ソフトクレーム対応を mamorocca に移管する不動産会社が増えています。【最終更新日:2022年7月1日】

ヴァンガードスミス(旧:レジデンシャルペイメント)「近隣トラブル解決支援サービス・mamorocca」

事件になる前に、トラブルを解決する

 mamorocca では、トラブルを抱えた会員から最初の相談が入った時点で、些細な内容でも対応を引き受ける方針を、契約者や管理会社に伝えています。

 相談者が懸念するのは、今よりもトラブルが拡大・悪化することです。最初に間に入る人には、トラブルを抱えた当事者とのコミュニケーションに慣れている経験値や精神面の資質に加え、法律や行政手続きの知識が必要になります。元警察官が専門相談員として常駐するのは、トラブルの現場に慣れ、厳しい局面と向き合うストレス耐性を備えているからです。


【導入企業の声 事例1】

「どうせ、さらにもめて戻ってくる、と思っていた」

KACHIAL(カチアル:東京都新宿区)
PM事業部・城戸基臣部長

きっかけは担当社員の離職

 賃貸不動産の管理仲介事業を行うKACHIAL(カチアル:東京都新宿区)は、2021年9月、管理する1万戸の入居者を対象に mamorocca を導入しました。「きっかけは、入居者トラブルの対応に当たっていた社員の離職だった」と、PM事業部・城戸基臣部長は話します。「入居者間のトラブル対応は、従来、社員が行ってきましたが、非がどちらにあるか判断しにくく、解決が難しい作業でした。しかし、当事者である入居者は、『トラブルは管理会社が解決するべき』と考える人が多く、どちらかの入居者が引っ越すまで、訴えが止まることはほぼありませんでした。会社としてはマンパワーを割かれ、担当する社員の精神もきわめて厳しい状態にありました」

一次対応から委託

 導入以降は、入居者トラブルに関する問い合わせが入ると、一次対応から mamorocca に委託しています。その結果、社内のスタッフがモラルトラブルの対応に当たることは、ほぼなくなったといいます。「仕事に集中できることに加え、いつ呼び出されるかわからない電話におびえる必要がなくなり、生産性が一気に上がりました」

 一方で、導入前には、ためらいもあったといいます。「管理を任されている以上、トラブル対応は自社で行うべきと考えていました。また、外部に任せたら入居者との関係がさらにこじれて、結局自分たちが対応することになる、と思っていました」

 導入してすぐの頃、長年対応してきた社員から、mamorocca の相談員に対応が変わったことに腹を立てた入居者が、案の定、KACHIALに連絡をしてきたことがありました。「『ほら見たことか』と思いました。しかし、mamorocca の相談員からは『再度連絡があったら、何も対応せず、任せて欲しい』と言われました。覚悟を決めて、例外を設けず、トラブルを全て任せると決めたら、2週間もたたないうちに、案件は戻ってこなくなりました」

相談員の強みは、トラブルを抱えるどちらの味方でもないこと

 城戸部長は、トラブル対応にあたる mamorocca の強みが、管理会社と異なる第三者的な振る舞いにあると考えています。「入居者から窮状を訴えられた時、管理会社のスタッフはその内容を疑問に思っても、言葉を返すことはできません。しかし、mamorocca の相談員は、トラブルを抱えるどちらの味方をするわけでもなく、第三者的な立場で、双方と話をします」

 そして、導入から3カ月がたった頃、20年以上続いていた隣部屋同士の入居者トラブルを、mamorocca の相談員が解決することが起きました。「奥さま同士のトラブルが根深く、我が社の社員の誰もが、絶対に解決不可能だと考えていました。しかし、相談員が双方との話し合いを重ね、一方に非を認めさせ、その事実をもう一方の旦那さまに伝えると、『いつか引っ越さなければ、と考えていた』という解答を得たのです。その後、そのご夫婦はすんなりと引っ越していかれました」

 「設備の修繕を専門会社にお願いするように、モラルトラブルも専門家の力が必要なのだと、今は考えています」(城戸部長)

【導入企業の声 事例2】

長期化したトラブル案件、1カ月以内にすべて解決

三好不動産(福岡市)
賃貸管理部 前川知之さん

後回しにして重症化させてしまうことがあった

 賃貸管理仲介の福岡最大手、三好不動産(福岡市)は、管理物件の入居者から届く騒音トラブル対応を mamorocca に任せています。導入の目的は、社内の入居者対応チームの対応が遅れることがあったからです。チームには15人の社員が在籍していますが、水漏れ、機器故障、雨漏りなど緊急性の高いものを優先し、騒音トラブルが重症、長期化することがあったと言います。

 mamorocca を知ったのは、同業社からの紹介です。対応遅れを解消するため、スタッフの増員を検討しているタイミングでした。「本当にできるのか、不安があったので、紹介者に何度も話を聞きました。mamorocca による過去の対応結果の履歴を見せてもらい、1年かけて検討しました」(賃貸管理部・前川知之さん)

月150件の騒音トラブル対応が、ゼロに

 導入以前、騒音トラブルに関する問い合わせは月150件程度でした。mamorocca に委託してから、これらの対応はすべて無くなったと言います。「それまでは、1件の電話対応でも1時間は要していました。その分、業務効率化が進み、オーナーへの提案や入居者へのサービス向上につなげることができています」(前川さん)

 さらに、新規の問い合わせだけでなく、既に長期化したトラブルについても、対応を引き継ぎました。半年以上トラブルが続いていた案件もありましたが、引き継いで1カ月以内にすべて解決できたといいます。「我々はお客さまに言われるまま聞くしかありませんでしたが、mamorocca は問題点を突っ込んで話を聞きます。問い合わせをした入居者自身に問題がある場合も、本人に伝え解決に導いていました」

 問い合わせた入居者にしてみれば、対応が急に変わるため不満の声が上がってきてもおかしくありません。「当初は数件ありましたが、mamorocca から『戻して欲しい。対応はしないように』と言われました。対応窓口を設けたことを歓迎してくださるお客さまもいらっしゃいました」(前川さん)

入居者に協力を依頼する管理会社に無い発想

 前川さんが最も驚いたのは、水道の蛇口を急に閉めた時に、“カン”と甲高い音がする「ウォーターハンマー」への対応だったといいます。シングルレバーの水栓で蛇口を閉めた時に、水道管の内部に圧力がかかり発生するものですが、隣から壁を叩かれているように聞こえるため、トラブルになることがあるのです。

 「我々の場合、ウォーターハンマーだと認識したら、蛇口交換で解決を目指します。しかし、mamorocca の相談員は『蛇口を急に閉めると隣に響くので、ゆっくり閉めてください』と入居者に伝えて解決したのです。発想すらしなかったので、本当に驚きました」(前川さん)

入居者満足度も高い

 「入居者の対応は管理会社がやるべきだと考えてきましたが、mamorocca の対応を見て、モラルトラブルも、プロが対応すると入居者の満足度が非常に高くなることがわかりました。社員のストレス軽減にもつながりましたが、入居者にとってもプラスになることが多いと思います」(前川さん)

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相談者に考えを変えるよう促すことも

 相談を受けた相談員は、防犯指導や解決に向けた具体的なアドバイスを行うため、事実の把握に努めます。トラブルの当事者双方から聞き取りを行い、その上で、当事者が望まない内容が出た場合も、毅然とした姿勢で事実を伝え事態の改善に務めます。

 相談員は「クレームを言った人の味方」という姿勢をとりません。聞き取りのうえ、中立の立場でトラブルを解決することに集中します。これは、「相談者をクレーマーにしないために必要なこと」と田中社長は話します。その結果、解決策の何割かは相談者に考えを変えるように促すことになるそうです。

 当事者が、精神疾患や認知症など生活支援を必要としている場合、状況に応じて行政機関と連携をとりサポートにあたります。ストーカーのような継続的な嫌がらせ、違法行為を受け、対策が必要と判断した場合は、費用の一部を mamorocca が負担する場合もあります。「経済的な理由で本来取るべき対策が取れず、事態を悪化させてしまうケースも多い。緊急の場合は当社で支援も検討します」(田中社長)

騒音トラブルが7割強

 まず、2021年上半期に寄せられた相談で一番多かったのは、騒音トラブル。次が迷惑行為でしたが、迷惑行為の原因は騒音にあることが多く、実際には9割近くが近隣の“音”に関するものだったといいます。

 費用は入居一室あたりの月額課金で、相談するたびに追加費用や成功報酬を求めることはありません。会員数は2022年2月末時点で全国で35万人を突破し、販売チャネルとして電力販売会社や携帯電話販売会社など幅広い業種業態と連携を進めています。また、専門相談員が常駐する拠点も、北海道、東京、大阪、福岡の4カ所あり、その他の都市にも順次増やす予定です。

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米国の近隣紛争処理制度「NJC」がモデル

 mamorocca のモデルとなっているのは、アメリカで自治体が運営する近隣紛争処理制度、NJC(Neighborhood Justice Center)です。アメリカでは30年以上前から、訴訟によらず、当事者の話し合いや第三者の調停で近隣トラブルを解決する仕組みが確立されています。騒音、迷惑行為、DV、ストーカーなど個人間のトラブルが、殺傷事件に発展することが認識され、社会問題として扱われてきた歴史があるといいます。

 日本には公的な近隣トラブル紛争処理制度はありません。また、事件が起きる前に警察を動かすことも難しく、警備会社も通報やセンサー感知が無ければ駆け付けることはありません。事件になる手前のトラブル解決を支援する仕組みを作るために、会員制の民間サービスという形でつくられたのが、mamorocca です。

元警察官の理想を詰め込んだサービス

 田中社長自身も元警察官です。困った人を助ける仕事がしたいと、大学卒業後、北海道警察に採用されましたが、警察官になると、その業務範囲の広さゆえにもどかしい思いをしたと言います。

 事件にならずともトラブルを抱える人は数多くいます。一方で、相談の数が多いため、警察は事件性の高いものから優先せざるを得ないのです。そのもどかしさを変えたる方法を見つけたいと、田中社長はキャリア警察官を目指して退官しました。

 試験を受けるまで生活のために就職したのが、不動産関連のベンチャー企業でした。そこで、民間企業の柔軟な発想と高い機動力を目の当たりにします。「民間の方が、警察キャリアよりもやりたいことができるのではないか」そう考えて起業する道を選びました。mamorocca は、田中社長が目指す防犯を詰め込んだサービスです。

 「結局、身の回りのトラブルは些細なことから始まります。そのほとんどは原因を正しく見極め、冷静に対処できる人がいれば解決できます。だからこそ、トラブルが事件になる前に相談して欲しい。防犯に対する日本の仕組みを変えようと、同じ思いを持つ元警察官がここに集まっています」(田中社長)

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【商品概要】
商品:近隣トラブル解決支援サービス・mamorocca(マモロッカ)
価格:入居一室に付き月額設定
   追加費用や成功報酬は一切不要

【会社情報】
社名:ヴァンガードスミス(旧:レジデンシャルペイメント)
設立:2015年
代表取締役:田中 慶太
資本金:104,700,000円(資本準備金を含む)
事業内容:近隣トラブル解決支援サービス事業
本社所在地:東京都港区西新橋1‐1‐1 日比谷フォートタワー10階
HP:https://www.v-smith.co.jp/
問い合わせ先:ヴァンガードスミス
TEL:03-6205-7696 事業企画室 甘利