「地域住民の信頼を得るために、DXの力が必要です」平田不動産 平田稔社長インタビュー

2022年05月20日

山本悠輔(全国賃貸住宅新聞)

 人口3万人を切った福井県小浜市において、賃貸物件の6割を管理する平田不動産。平田社長が掲げるDXの目的は「顧客とのコラボレーション」です。YouTubeやSNSなど、あらゆる手段で住民とのコミュニケーションを図り、街づくり事業を加速させている同社に、DXによって見据える企業展望を聞きました。

取材対象者プロフィール

平田 稔(ひらた みのる)
1981年1月生まれ。
誕生の数日後に平田不動産創業。
高校卒業後、京都の美術学校で学ぶ。
石川県の不動産業者で3年の修行を経て、平田不動産入社。
仲介から管理、管理から所有へと業態変更を進めている最中。
地元の人や場所のインタビュー、地元偉人看板の設置、学校評議員などを務める。

 

街づくりを進めるために、必要なDX

 山本「平田不動産と言えば、福井県小浜市。エリアで6割の賃貸を管理していますね。今回のテーマDXは、傾向として首都圏や大都市の不動産会社が熱心に取り組んでいるイメージがあるのですが、平田社長はDXで何を実現されようとしているのでしょうか」

 平田「当社の行動規範として”すぐやる”という言葉を掲げています。入居者、オーナー、関係業者など、関わりのある人全てに当てはまります。要望に瞬時に対応し、信頼関係を結ぶためです。これをより加速するために、DXツールは必要不可欠として、導入を進めるようになりました。」

 山本「その行動規範を掲げている理由はなんですか」

 平田「当社は、人口3万人を切る福井県小浜市で不動産事業を展開しています。市外からの流入は少なく、市内での住み替えが多い地域となっています。他の不動産会社と比べて、特殊だと思います。例えば、スーパーへ買い物に行くだけで、仕事の知り合い5人とはお会いできます。つまり、地域住民全員と距離が近く、当社の顧客となるわけです。当社が掲げるビジョンは街づくり。地域を良くするためには、住民との信頼関係が必要ですよね。そのために、いつでも迅速に対応する意味があるのです」

コミュニケーションのパイプを増やす

▲在宅でも仕事ができるように、IT重説も早々に導入している 

山本「地域密着を図るためのDXということですね。ちなみに、具体的にはどんなツールを導入されましたか」

平田「まず、不動産ITに詳しい外部コンサルに入ってもらっています。ツールとしては、電子契約サービス、入居者アプリ、オーナーアプリ、LINE追客。あとは、最近YouTubeアカウントを開設し、ほぼ毎日投稿しています。不動産ITツールに限らず、あらゆるサービスを導入しています。」

▲地域のスポットを発信している平田不動産のYoutube

 山本「それだけ一気にツールを導入するとは、ずいぶんと思い切りましたね。これらは、当初言っていた『すぐやる』につながっているのですか?」

 平田「つながりますね。迅速に対応するために必要な事は2つあります。1つは、コミュニケーションツールを増やすこと。これは、YouTubeや入居者、オーナーアプリを導入する理由です。FAXしか受け付けません。では、顧客は離れていきますよね。これだけオンラインコミュニケーションが発達したのだから、対応する必要があります。2つ目が、社員の業務効率化。対応スピードを早めるためには、業務コストを減らしたい。そのために電子契約サービスを使って、社員に余裕のある状態を作り出したいと思っています。」

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