LGBTQ,高齢者etc.の入居拒否経験76% 多様性受け入れの現状を、LIFULL源田さんが解説

2022年08月19日

山本悠輔(全国賃貸住宅新聞)

 誰もが心地よく暮らせる社会を目指す、ダイバーシティ(多様性)の意識が広がっています。ただ、賃貸業界では部屋探しの観点において、まだまだ受け入れが進んでいません。高齢者やLGBTQといった人たちが、入居を断られているケースが多々あります。大手ポータルサイトを運営するLIFULLの源田明男東日本賃貸ユニット長に、いわゆる住宅弱者の部屋探しの現状について取材しました。

全人口の約30%が当てはまる

 高齢者、障がい者、LGBTQといった、いわゆる住宅弱者の割合は、2017年時点で全人口の30%と推定されています。さらに、2025年になると、約45%に上昇する算出がされており、賃貸業界においても、空室対策として、こうした人たちの受け入れ策は急務です。源田男夫ユニット長は「現状の賃貸仲介事業から視野を広げて、住宅弱者をターゲットに入れたビジネス展開を視野に入れるタイミングではないでしょうか」と語っています。

 しかし、現状として受け入れが進んでいるとは言えません。同社が実施したアンケートでは、賃貸契約の際に不便を感じた。という回答が、全体の6割に登りました。まだまだ、事業者側の理解が広がっていません。また、管理会社・オーナーへのアンケートでは、入居を断った経験がある。との回答が76%となりました。もちろん、過去に何らかの入居者トラブルを経て、拒否するようになった。というケースもありますが、こうした結果から、住宅弱者の部屋探しにおいて、貸主・借主間の乖離がある事が伺えます。

「相談できる不動産会社」の必要性

 では実際に、住宅弱者はどのような理由で部屋探しに不便を感じているのでしょうか。各カテゴリーに分けたアンケート結果は下記となります。

・物件を借りるまでの不便や困難トップ3

【高齢者】

・「高齢者」であることがハードルとなり、候補となる物件が少なかった。

・自分の状況を、どこまで開示すべきかわからなかった。

・入居審査が通るのか不安だった。

【LGBTQ】

・相談できる不動産会社の探し方が分からなかった。

・入居審査が通るのか不安だった。

・自分の状況を、どこまで開示すべきかわからなかった。

となりました。いずれも、自身でも入居可能な物件や、対応してくれる不動産会社の選定に苦労があった。といった内容です。こうした結果から、源田ユニット長は「入居できる物件、相談できる不動産会社が見つかれば、すぐにでも住みたい。という人は多いです。つまり、こうした対応ができれば、すぐにでも実績があがる状態。とも言えます」と語っています。

 人口減少が進み、空室増加に拍車がかかる昨今で、ターゲット層の拡大は、今日からできる施策の一つです。幅広い入居者のニーズにに対応できる不動産会社を目指すことは、今後選ばれる企業としてあるべき姿とも言えるでしょう。