【インタビュー】コロナ長期化でエンドユーザーはどこに住みかえた?住みたい街ランキングから見えた賃貸市況をLIFULL 源田さんが解説。
2022年03月14日
山本悠輔(全国賃貸住宅新聞)
2021年の東京23区で、転出超過が起きたことが大きな話題となりました。コロナ禍の長期化による人口の移動により、賃貸住宅のエリアニーズにも徐々に影響が出ています。「LIFULL HOME‘S」を運営するLIFULLの源田明男東日本賃貸ユニット長に、都内エリアで起こっている変化と、今後できる空室対策について聞いてみましょう。
賃貸ニーズの郊外化が定着 テレワークで出社減が要因
LIFULL HOME`Sが、運営するポータルサイト「LIFULL HOME‘S」に掲載された賃貸物件の問合せのデータを昨年1年間で実施。その結果を『2022年 LIFULL HOME`S住みたい街ランキング』として2月に発表しました。
首都圏をピックアップすると、借りて住みたい街ランキングで、神奈川県の「本厚木」駅が1位となりました。続いて埼玉県「大宮」駅、千葉県「柏」駅と、首都圏近郊のターミナル駅が軒並み上位にランクイン。一方で、都内の山手線沿線では「池袋」駅が前回比較で7ランクダウンの12位。賃貸ニーズが郊外に傾いていることが如実に表れています。
上記の表は、単身やファミリーを含めた変化とのこと。つまり、物件タイプがワンルームやファミリーに関わらず都心部の物件は総じて人気が低下していると言えるでしょう。
エリアマップで見てみると、一目瞭然。青いエリアがランクダウン、赤いエリアがランクアップを示しています。いわゆる準近郊・郊外が躍進し、都心、近郊が人気が低下。こうした結果に対し、源田明男さんは「コロナ禍が長引く中で、都心部から郊外へ、という需要の変化がますます顕著に表れた」としています。
将来不安が拡大 居住中の家賃見直しに繋がる
主な要因はやはり、新型コロナウイルス。昨年までは一過性との見方もあったものの、影響が長期化する中でライフスタイルも見直されるようになりました。現状よりも賃料が安く、更にテレワークスペースも確保しやすい郊外物件のニーズが定着し始めています。
ランキングにもあるように、1位の「本厚木」駅と12位の「池袋」駅では、同様の間取りでも賃料相場に約2倍の差が出ています。固定費削減の一丁目一番地に家賃の見直しが上げられると、数万円単位でコストカットできる郊外への転出は納得の結果といえるでしょう。
都市ガスに注目?ガス代値上がりで検索ボリューム上昇
では今後、ユーザーから選ばれる物件を目指すにはどうすればいいでしょうか。ホームズではコロナ前・コロナ後で、検索ワードの変化を算出。そうすると、・ペット可 ・都市ガス ・追焚機能 が最も検索率がアップしていました。ステイホームによる室内環境の変化が起因したと推測できるが、特筆すべきは「都市ガス」でしょう。
都市ガスの検索ボリュームがアップした理由として、「昨今の経済事情から、電気代やガス代が値上がりしている。在宅時間が増える中で、プロパンガスよりも安い都市ガスを求めて検索されるようになったのではないか」(源田さん)と推測しています。