脱ポータル!既存広告に頼らない新たな集客を探る

2021年11月07日

山本悠輔(全国賃貸住宅新聞)

 広告費をかけない集客を目的として、脱ポータルへの動きが各社で加速している。独自開発の仲介営業マンとのマッチングアプリの活用や、SNSを使ったユーザーとのメッセージ機能で、成約まで至るケースも一般化している。新たな集客手法に勝機を見出す2社の取り組みを取材した。


営業担当者指名の部屋探し

 アンビション・エージェンシー(東京都渋谷区)では、今年4月より、部屋探しユーザーと仲介営業担当者をつなぐマッチングアプリ「ルムコン- Room Concierge -(ルームコンシェルジュ)」のサービスを開始した。10月末時点で、ユーザー側のダウンロード数が2800件に上っている。

 ルムコンでは、SNS感覚で仲介営業担当者がアプリ内で投稿を行う。空室の物件案内や、自身のプライベートな情報まで、投稿ジャンルは幅広い。ページ内には、担当者のプロフィールまで記載していて、人となりがわかる造りとなっている。部屋探しユーザーは、投稿する担当者をフォローすると、メッセージ機能が利用できる。そこで部屋探しの相談を行い、成約までの流れだ。

 仲介営業担当者としては、これまで主流だった物件の反響営業だけではなく、新たな販売チャネルの確保につながる。企業としても、ポータルサイトの広告費削減にも期待がかかる。実際に投稿を行っている鈴木隆大さんは「ルムコンユーザーとの商談は、事前に情報を開示している分、話しやすさや親しみやすさにつながっている」と話す。


▶︎「ルムコン- Room Concierge -(ルームコンシェルジュ)の詳細」


 また、部屋探しユーザーにとっては、おとり広告の防止や、相性の合わない担当者とのやり取りをする必要がなく、必要以上にストレスを掛けずに部屋探しができる。

 現在は、トライアル期間中で投稿側、ユーザー双方無料で利用できる。今後は、ルムコンでの成約件数の増加を見込むとともに、マネタイズの側面でも展開も進めていく予定だ。

外国人仲介に本腰 SNS完結で広告費削減

 仲介事業を行うワンダーライフ(愛知県名古屋市)では、外国人の部屋探しに新たな勝機を見出している。現在、中国人とベトナム人スタッフを採用しており、彼らのSNSや紹介を経由して既に月間合計約50件の反響があるという。


 2019年11月より「国際リーシング課」として、専門部署を立ち上げた。直後の新型コロナウイルス下で影響を受けているものの「外国人スタッフに、接客や契約の流れを教え込む良い時間になった」と東社長は前向きだ。現在は在日外国人の転居をメーンに、仲介を行っている。

 外国人仲介に注力する最大の狙いは、ポータル依存からの脱却だ。増加傾向にある広告掲載料や、確度が低い反響顧客への対応に業務を割く現状に、限界を感じていたという。「ポータルサイトが集客の主力であることは変わらないが、別の柱を立てる必要がある」と東社長。そこで、国毎のネットワークが強く、SNSで個人間のやり取りが発達している外国人の仲介に白羽の矢が立った。

 利点は、集客における費用はほとんどかかっていない点だ。SNSのメッセージ機能であらゆるやり取りが可能なため、店舗を構える必要がないこともメリットだ。課題としては、審査基準の設定や、選ばれる物件が低賃料傾向にある事だという。

 東社長は「海外からの流入が戻れば、まずは外国人仲介だけで仲介店舗並みの利益を目指したい」と語る。