次世代コールセンター トラブルを一気通貫デジタル解決

2025年07月15日

 「ZENBU+(ゼンブプラス)」は、テック企業がつくった、新しいコールセンターサービスです。入居者の対応にあたるのは、賃貸コールセンターの経験が豊富なメンバーです。駆け付け事業者を手配し、進捗管理をシステムで行います。また、入居者アプリに誘導し 、入居者にトラブルの自己解決を促します。賃貸管理会社、駆け付け事業者、家主、入居者が、同じシステムを使うため、トラブル事案のステータスをリアルタイムで共有できるのも特徴です。「ZENBU+」という名称には、管理会社や入居者の困りごとに「全部」応えていく、という想いが込められています。

ZENBU+ / ZENBU PLUS


■CONTENTS

  1. 関わる全ての人が、同じシステムを利用できる
  2. 入居者アプリで自己解決を促し、コールを半減
  3. 有人のコールセンターとのハイブリット型体制も強み
  4. 新サービス「共用部の駆け付け」スタート
  5. 設立から1年半、46社・約13万世帯から受託
  6. 管理業務の領域を一つに。AIとの対話で、入居者に価値ある体験を

どんなサービス?

関わる全ての人が、同じシステムを利用できる

「ZENBU+」は、入居者の生活トラブルに、24時間駆け付け対応するサービスです。サービスを提供するZENBU PLUS(ゼンブプラス:東京都渋谷区)は、コールセンターを内製化し、3拠点50人体制で対応します。設備トラブルなどが発生した際、入居者からの問い合わせに対して、コールセンターが駆け付け事業者を手配する流れは、従来のコールセンター業務と変わりありません。

 ただし、管理会社、駆け付け事業者、オーナー、入居者といった全ての関係者が、オンライン上でつながるシステムに、受電と同時に情報が入力されるため、あらゆる関係者がリアルタイムで対応の進捗状況や、トラブルの詳細を確認できるようになります。入居者は、駆け付け状況のステータスがわかるので、トラブル解決までの心づもりができ、さらなるクレームが起こりにくくなっています。

 この仕組みを支えるのが、建物管理システムを開発するアセットコミュニケーションズ(東京都渋谷区)が提供する、「BMクラウド」です。

ZENBU+が対応する業務・運用体制

入居者からのSOSは、オンラインで完結

 他社の駆け付けサービスと「ZENBU+」が異なる点は、入居者対応から建物管理まで、すべての情報がデジタルデータで管理されていることです。トラブルの受付から、駆け付けの出動手配、完了の報告まで、全てをダッシュボード上でリアルタイムに確認できます。

 これらの情報は、アセットコミュニケーションズの建物管理プラットフォーム「BMクラウド」にフィードバックされ、日常メンテナンスの清掃・点検業務の強化につなげることができます。緊急トラブルの発生自体を防ぎ、減らしていくことがねらいです。

 すでに契約している既存システムと並行しながら利用できることも特徴です。コールセンター業務のみ、家主への報告書作成業務のみ、といった部分的な利用(アドオン)もできます。


タイプ別・使い方の事例など詳しいことは…


どんなサービス?

入居者アプリで自己解決を促し、コールを半減

 「ZENBU+」は、コールセンターとともに、専用の「ZENBU+入居者アプリ」で、トラブルに対応します。「ZENBU+」が対応する案件の約半数は、入居者アプリから届くものです(2025年5月現在)。

 入居者アプリは、トラブルの内容に合わせて、解決に結びつく「対応策」を表示します。これにより、入居者が自身でトラブルを解決できるよう促します。必要以上のコールが減り、コールオーバーも起こりません。

 賃貸管理会社は、入居者アプリからの問い合わせ内容を、デジタルデータで残すことができるのもメリットです。これまで、煩雑になりがちだった入居者からの問い合わせ対応が、デジタル化によって処理がシンプルになり、業務がスピードアップします。

ZENBU+入居者アプリの画面。AIの誘導により自己解決できる流れ
(2025年5月1日~5月31日1カ月間 ZENBU PLUSの対応状況より)
急成長している理由は?

有人のコールセンターとのハイブリット型体制も強み

 「ZENBU+」のサービスは、最新テクノロジーを活用したデジタル化や入居者アプリによる対応だけではありません。実は、有人のコールセンターによるサポートも重視し、トラブルや状況に合わせた柔軟な対応ができることも大きな強みです。

 実際に、サービスを導入した大手管理会社からは「有人のコールセンターの対応が充実している」という声が届いています。

 設立後、わずか1年で急成長している背景には、こうした利用者に寄り添った伴走型対応が評価されていることもあります。

他のサービスとの違い

新サービス「共用部の駆け付け」スタート

 2025年6月、「ZENBU+」は「共用部に特化した、24時間365日の駆け付けサービス」を追加しました。夜間や休日も一次対応し、専門業者へ手配、そして請求までの業務を自動化して行います。

 サービスに至った背景には、賃貸管理会社から「専有部だけでなく、共用部も対応してほしい、という声があった」と松下直史社長は話します。ZENBU PLUSが2025年5月に実施したアンケートでは、71%の管理会社が「共用部のトラブルへの自社対応には限界がある」と回答しています。

共用部のトラブルは「給排水・雨水関連」が1/3を占める (2025年5月、全国の賃貸・分譲管理会社を対象にZENBU PLUSが実施したアンケートより)

共有部の駆け付けサービス、詳しいことは…


会社設立物語

設立から1年で、46社・約13万世帯から受託

 松下社長は、独立する前までの約9年間、業界大手の駆け付け系サービスを扱う会社に勤めていました。当初は、バイクのロードサービスがメインでしたが、「家の鍵を落としちゃって…」という問い合わせが多く、住宅向けの24時間365日コールセンターは顧客の声から事業が生まれ、拡大したといいます。

 その頃、家財保険による保証はありましたが、現在のように住宅向けのコールセンターは数が少なく、「鍵が開かない」「水漏れした」といった“入居後のピンチ”に緊急対応してくれる事業者が少なかったそうです。市場のニーズもあり、駆け付け対応するコールセンターは、賃貸住宅市場に一気に広まっていきました。

 2020年、松下社長は、駆け付けサービスを会員制とするサービスで会社を設立し、2024年、アセットコミュニケーションズのグループ会社としてZENBU PLUSを設立しました。2025年6月時点で、46社約13万世帯に駆け付けサービスを提供するまで成長しています。

サービス概要「これだけ見てればOK編」(29秒)
サービスを支える
テック企業

管理業務の全域をシステムで一元化

 アセットコミュニケーションズは、賃貸管理業務のデジタル化を推進するテック企業です。賃貸経営ダッシュボード「AssetApps」を開発し、建物管理プラットフォーム「BMクラウド」を提供しています。これらにより、建物の維持保全業務、財務会計のデジタル化を行い、賃貸管理業務の一元化を実現します。ZENBU PLUSの設立で、アセットコミュニケーションズの業務領域に、入居者対応が加わりました。現場に基づいたサービスで、デジタルとの融合を進めています。

 「今後、デジタル化によって、入居者の体験価値、Residential Experienceを高めていくことができる」と、アセットコミュニケーションズの近藤統嗣社長は話します。

 その核となるのが、暮らし全般に関わるサービスを提供する「X Concierge(コンシェルジュ)」です。入居者が求めるサービスをワンストップで提供できるシステムにより、物件のバリューアップを実現できます。

暮らしにおける新たな体験価値を生み出す「X Concierge」。2025年秋、ECサイトや会員向けサービスを開始予定

タイプ別・使い方の事例など詳しいことは…


【サービス概要】
名称:ZENBU+(ゼンブプラス)
主なサービス:24時間365日緊急駆け付けコールセンター。電話と入居者アプリで対応。駆け付け手配、修繕対応、案件管理ダッシュボードの提供
オプションサービス:共用部の駆け付け対応、建物管理サービスネットショップなど
初期費用:0円
月額費用:1戸418円(税込み) 、2年契約:1戸8580円(税込み)※最低1棟10戸~対応 ※共用部駆け付け対応など、オプションはZENBU PLUSに問い合わせを
対応エリア:全国
対応言語:入居者アプリは22カ国語に対応
【会社情報】
社名:ZENBU PLUS
設立:2024年
代表取締役:松下直史
資本金:3000万円
事業内容:AIおよび有人コールセンターの運営、全国緊急出動サービス、緊急駆けつけアプリの研究開発
本社所在地:東京都渋谷区猿楽町29-8 ヒルサイドテラスE棟32
連絡先:03-6731-1391(受付9:00~18:00)
【グループ会社】
◆社名:ASSET COMMUNICATIONS
事業内容:AssetAppsの開発・提供、X Conciergeの開発・提供、BMクラウドの提供、各種建物メンテナンス
◆社名:BMプライム
事業内容:総合ビルメンテナンス