入居者アプリ「totono」で仕事量もコストも削減、入居者対応最前線!

2024年12月03日

 入居者アプリ「totono(トトノ)」を提供するスマサポ(東京都中央区)が、アプリを介した問い合わせ対応を管理会社から請け負う新しいサービスをスタートします。アプリ本来の目的である、問い合わせそのものを減らす業務改善の取り組みも一層強化します。totono+チャット対応代行サービスが、管理会社の仕事量と業務コストを削減し、入居者対応業務をサポートします。【最終更新日:2024年12月3日】

totono / スマサポ


■CONTENTS

  1. 入居者からの問い合わせが減る、問題解決型システム
  2. チャット対応の代行をスタート
  3. 【導入事例】能登地震直後、入居者の安否確認に使用
  4. 小田社長が描く「totonoが実現する新しい管理会社の仕事」
  5. ほぼすべての基幹システムと連携


1 入居者からの問い合わせが減る、問題解決型システム

 totonoは、賃貸管理会社のために開発された入居者対応アプリとして、2020年10月にリリースされました。アプリをダウンロードした入居者は、契約更新や解約手続き、設備等に問題が発生した場合など、生活の様々な場面でチャットを使って問い合わせることができます。


 アプリのトップページは「物件ごとの取扱説明書」として、建物、設備、生活ルールに合わせた個別の内容が表示されます。掲示板やQ&A形式の「FAQ」が設置され、問い合わせが多い内容は、対応策が常に更新されます。例えば、特定の物件において「宅配ボックスの開き方がわからない」という内容が多ければ、開き方のわかる動画を作成し、当該物件の掲示板に掲載します。


 しかし、入居者とのコミュニケーションツールとして、チャット機能を設けるだけでは、問い合わせは増加します。totonoでは、入居者がチャットページに遷移する前に、必ずFAQを通るように導線を設計しています。そのため、入居者は、問い合わせの大半を自身で解決できるのです。これが、管理会社の対応件数を削減することに直結します。

「totono」の画面。左から、入居者が見るマイページ、掲示板、チャット対応の例


2 チャット対応の代行をスタート

 2024年10月、スマサポはtotonoのチャットを介した入居者対応を、管理会社から引き受ける新サービスをスタートします。入居者からの問い合わせを分析し、管理会社と事前に取り決めた範囲で対応策を立て、必要に応じて工事会社や駆け付け業者に対応を依頼します。


 一般的なアウトソーシングとの違いは、totono+チャットセンターが、「管理会社に入る問い合わせの総数を減らすこと」を最重視していることです。チャットの内容を分析し、掲示板の内容更新や一斉送信などの機能を活用し、「電話が鳴らない管理会社」を低コストで実現します。


3 【導入事例

能登地震直後、入居者の安否確認に使用 被害状況の把握に有用

 北陸4県に8拠点を構えるアパ(金沢市)は、自社物件を中心に3600戸を管理しています。仲介から管理・オーナー対応まで内製化し、外部委託はしていません。入居者アプリを導入したのは、初期対応を任せることで、賃貸スタッフの業務負担を減らすことが目的でした。2024年1月の能登半島地震では、totonoを使って入居者から画像付きで情報を収集。現地に行かず、被害状況を把握できました。金沢本店 アパ賃貸館の賃貸スタッフに話を聞きました。

▲金沢市内に店舗を構える、アパ 金沢本店 アパ賃貸館

——totonoを選んだ理由は?
 管理物件には古い建物もあり、漏水などの設備故障クレームが年々増えていました。入居者対応に追われ、業務に支障が出るほど人手不足でした。「入居者の初期対応をしてくれるサービスがあれば」と考えていた時に、入居者アプリの案内を受けました。

 提案は3社からありました。決め手となったのは、緊急駆け付けサービスや、賃貸管理システムとの連携です。totonoは、どちらも連携していました。数年前、基幹システムの変更で苦労したため、システムを変更せず導入できることは、絶対条件でした。

——導入後、現場はどう変わった?
 2023年6月に、totonoを導入しました。入居者からの一次対応、緊急駆け付けサービスへのつなぎをお願いしています。totonoの登録者は、入居者全体の約4割(2024年11月)です。2カ月で導入が整い、賃貸管理ソフトとの連携はスマサポにサポートしてもらいました。totonoに初期対応を任せられるので、スタッフは業務の負担が減ったようです。

——震災発生時の活用方法は?
 24年1月1日の能登半島地震では、発生直後から社員総出で、管理物件の現地確認を行いました。石川県内では漏水被害が多く、個別対応に追われました。一方、震源地から少し離れた富山や高岡エリアでは、室内の壁紙の亀裂や、エレベーターの停止など被害は比較的軽いものでした。しかし、不安に思われた入居者からの問い合わせが多発していました。

 「totonoを使わせてほしい」と現場から要望があり、1月4日、富山と高岡の支店で管理する1000戸のうち約4割のtotono登録者へ、安否確認と被害状況確認のアンケートを一斉送信しました。その後、入居者から、状況を伝えるメッセージが画像付きで届きました。

——災害時に、役に立ったのか?
 入居者から届いたメッセージの画像を見て、スタッフは建物への影響の有無を判断できました。停止したエレベーターが故障ではないことを伝え、入居者に安心してもらうことができました。現地に行かず、被害状況を把握し対応できたことは大きいです。

 災害対応でtotonoを使えることは、大きな発見でした。今後、全店舗で対応できるよう、ルールを作成していきたいと考えています。


4 小田社長が描く「totonoが実現する、新しい管理会社の仕事」

 totonoの強みはどこにあるのか。totonoは管理会社の仕事をどこまで変えられるのか。目指す姿について、小田社長に聞きました。

———入居者アプリは多数あり、無料サービスもある。管理会社がtotonoを選ぶメリットは何か

小田社長)totonoが目指すのは、現在、管理会社が担っている入居者対応業務そのものを減らすことです。

 外部のコールセンターに業務をアウトソースするだけでは、発注先に仕事が移っただけです。問い合わせ自体は減っておらず、管理会社の費用負担が増えるだけです。入居者の満足度も上がりません。totonoが目指すのは、電話を減らし、問い合わせそのものを減らすことです。

 電話によるコミュニケーションの場合、「言った、言わない」問題や、感情的なトラブルも多く、入居者対応は複雑かつ困難な業務になりがちです。また、対応にあたるスタッフの採用も難しくなる一方です。totonoを導入すれば、我々のチャットセンターが対応し、マニュアルも常に更新されるようになります。管理会社は入居者対応に頭を悩ませる時間から解放され、品質向上とコスト削減を同時に実現できます。

———「世の中から入居者対応を減らす」という目標を、どのように実現するのか

小田社長)タスクの究極は、日本にあるすべての賃貸住宅のために、1棟ずつ「個別の取扱説明書」を作ることです。

 そのため、totonoのバックオフィスでは、日本中で起きている生活トラブルを詳細に分類し、リアルタイムでデータ化しています。「どの地域の、どんな設備」「どんな物件で、どんなトラブル」「どんな時期に、どんな頻度で」といった個別の状況を把握し、解決に導く対応策を見出します。その内容を「FAQ」や「掲示板機能」でアプリのトップ画面に反映し、取扱説明書として充実を図ります。

———地域管理会社が生き残るには、入居者対応を切り離すしかないのか

小田社長)そうではありません。

 少子高齢化が加速し、採用も厳しくなり、優秀な人材の確保が難しくなっています。管理会社は業務を見直し、誰でもできる作業的な仕事と、社内で行うべき仕事に分けることが重要です。入居者からの問い合わせを減らし、簡単な作業はアウトソーシングで対応し、重要な仕事に注力するべきです。問い合わせを分析し、アウトソースできるものとできないものを分けることで、業務を最適化できます。

 オーナーから資産管理を任されている管理会社は、資産を守り、収益を最大化する提案をする立場にいます。不動産の利活用提案は、街づくりの提案とも言えます。そんな仕事を魅力的に感じる若者はたくさんいます。しかし、管理会社の仕事が複雑で明確でないために、「管理会社に就職したい」と考える学生は少ないと言えるでしょう。もしかすると「クレーム対応に追われている仕事」とイメージされているかもしれません。

 入居者対応を止めることはできません。人の生活を支える重要な仕事です。しかし、そこに若者は集まりません。あらゆる企業が人材を取り合う中で、クレーム対応を仕事に選ぶ人がどれほどいるでしょうか。働く人がいなくなれば、管理会社は存続しません。

 当社が、全国の入居者対応に関わる作業を引き受けるので、管理会社の方々には、オーナーの資産を最大化する仕事に集中して欲しいと思っています。そういった気概を持ってtotono事業をやっています。

———「totono」はこれから、どのように進化するのか

小田社長)最初のゴールは、管理会社と入居者をつなぐプラットフォームになることです。

 入居者対応業務は、解約更新、工事会社、駆け付け業者への依頼、モラルクレーム対応など、担当部署が分かれていたり、様々な提携会社との連携が必要です。これらの社内外にまたがる連携を、関係者がしやすい仕組みを整えます。

 次の段階で、入居者のベネフィットの最大化を目指します。おすすめの地域情報や、便利なサービス情報を提供する「生活アプリ」として成長させます。先行導入した管理会社では、入居者に対するアルバイトの募集や、プレゼントキャンペーンの実施などの取り組みが出てきました。

 各地域の物件オーナーは、自ら商売をされているケースが多いです。それをアプリで応援する事例もあります。

 いずれは、入居者同士がつながるコミュニティの場になれると思っています。管理会社によって身元が保証された人同士のつながりは、新しい安心の場になると思います。賃貸住宅の入居者が快適に生活するために、なくてはならないサービスに仕上げます。


「totono」の詳しい資料は▼


5 ほぼすべての基幹システムと連携

 totonoを導入する場合、基幹システムに格納された情報との連携が必要です。主要な賃貸管理基幹システムと、API、或いは、RPAの設定(双方で得た情報を1日1回、CSVで出力してアップロード)により連携させます。totonoを稼働させるには、基幹システムから300項目のデータを集めます。この設定作業はスマサポがサポートします。ほぼすべての基幹システムと連携が可能です。

 2024年8月現在、「totono」は累計25万ダウンロードを超えました。契約会社は125社、新規入居者の9割がアプリをダウンロードしています。今後の課題は、4割にとどまる既存入居者への普及です。若年層がメインの物件では、入居者のダウンロード率が高い傾向にありますが、高齢入居者が多い物件では、低くなります。「totonoは、操作がシンプルなアプリです。スマホ利用者の比率の高まりに合わせて、ダウンロード率も高まると考えていますが、高齢者にも日常的に使っていただける機能を追加していきます」(小田社長)


「totono」の詳しい資料は▼


【商品概要】
サービス名:totono
主な機能:24時間対応のコミュニケーションチャット(チャット代行を含む)、掲示板を使ったお知らせの電子化、入居者からのよくある質問をFAQで表示、各種申請受付機能、契約情報の確認ができるマイページ、広告配信機能、その他順次開発予定
導入費用:開発システムの内容による。詳細はスマサポに問い合わせを

【会社情報】
社名:株式会社スマサポ
設立:2012年
代表取締役社長CEO:小田慎三
資本金:213,707,822円
事業内容:不動産管理業界に向けた複数ソリューション提供と入居者アプリ「totono」を活用したDX推進事業
従業員数:62人(2024年6月末現在)
本社所在地:東京都中央区日本橋3-6-2
連絡先:050-1741-1119