販売に繋がるYouTubeチャンネルをプロデュース

2022年05月29日

 映像制作のサンキャク(横浜市)は、手掛ける不動産販売会社のYouTubeチャンネル開設と動画制作サービスを展開しています。YouTubeをきっかけに約4000万円の一戸建て物件が60棟以上売れた実績もあり、話題を集めています。営業に繋がるYouTubeチャンネルの秘訣とは何か、竹内竜太社長に話を聞きました。

▲60棟の販売に繋げたYouTubeチャンネル

約4000万円の物件が60棟売れた

―――販売に繋がるYouTubeチャンネルをプロデュースされていると聞きました。

 販売に繋がる「登録者数」と「再生数」を獲得するためのYouTubeチャンネル運営を支援しています。ターゲットと売りたいものを明確にし、「企業が伝えたいこと」ではなく「顧客が知りたいこと」をコンテンツ化するように心がけています。以前手掛けた不動産開発会社のYouTubeチャンネルでは、一人の営業マンをユーチューバーとしてプロデュースして、頭金やローン、物件の内見など一戸建ての購入を検討するお客様が持つ関心に応えるコンテンツを制作しました。その結果、単価約4000万円の物件が60棟売れました。

▲サンキャクの竹内竜太社長

―――YouTubeをきっかけにそこまで物件が売れるものなのですか。

 ただ動画を制作するのではなく、24時間休まず働く営業マンを作り上げるというイメージの方が正しいかもしれません。

 もともとその物件は、SUUMOなどのポータルサイトで広告運用するなどして販売されていました。販売開始から時が経ち、営業人数も減り、売れ残りに近い状態になっていたところ、「動画を作って販売に繋げたい」と相談が来たのです。相談してきた会社としては、当初は建物や街の魅力を伝えるチャンネルにしたいと考えていたのですが、要望を伺っているうちに「情報が多すぎてお客様目線になっていない」と感じました。

▲聞きにくい質問にも丁寧に回答する


 そこで、お客様が知りたいと思う疑問や悩みに応えるYouTubeチャンネルにすることを提案したのです。先方の営業担当者を集めてもらい、購入希望者からよく受ける質問をすべて書き出し、カテゴライズした上で、それらに応える動画を一つ一つ制作していきました。

 実際に制作した動画の中には、ローンや頭金などお金に関する動画もいくつかあります。こうした話題はお客様が気になっていてもなかなか聞きづらいので、YouTubeの方が疑問に応えられるのです。他にも、他の物件との比較や物件のメリット・デメリットをしっかりと動画で伝えるようにしたところ、反響が出るようになりました。

 不動産は高額な買い物なので、焦らずにしっかりと検討して購入したいお客様も多いです。お客様が知りたい内容にしっかり応えるYouTubeチャンネルがあれば、「購入したいけど分からないことがたくさんある」というお客様が自然と集まり、信頼を獲得できるようになります。しかも、YouTubeなので時間に捉われることもありません。これってとても優秀な営業マンだと思うのです。

―――チャンネルはどのようにして拡散されていったのですか?

 物件のウェブサイトに動画のリンクを貼りました。希望エリアの物件をポータルサイトで検索した人が物件のウェブサイトにたどり着き、そこで動画を見た人がチャンネルページへと移動するという流れです。「戸建て」というキーワードで上位に表示される施策も行いました。

▲一緒に内見しているようなイメージで作成

 問い合わせの中には「YouTubeに出ている人に担当してほしい」という指名もあったそうです。こうした方のように動画を視聴しているお客様はYouTubeで物件に関する情報をほとんど理解しているので、具体的な話がどんどん進みます。商談も通常の3分の1程度の時間しかかからなかったそうです。

「見せたい人にコンテンツを届ける」意識が大切

―――YouTube支援サービスをはじめるきっかけは何だったのですか。

 私は以前ソニーに勤めていたのですが、転職・独立のために英語を勉強することにしたのです。その時に、せっかくなら勉強しながらコンテンツ制作力を生かして発信しようと思い、「45歳から英語を勉強する」というYouTubeチャンネルを開設したのです。仕事でSNSの立ち上げなどに関わっていたので、SNSを作る側の視点でコンテンツ制作ができ、分析しながら運用するとフォロワー数と視聴回数もどんどん伸びました。現在は2万5000人のフォロワーがいます。

―――営業を目的としたYouTubeチャンネルでも同じ手法が活かせるのでしょうか。

 大切なのは、ターゲットを絞って「何を届けたいか」「どんな行動を掘って欲しいか」を考えてチャンネルの内容を統一させること。賃貸住宅系のチャンネルならば「単身/ファミリー」、「エリア」、「年収」などを明確にしてターゲットを絞り込みます。そのターゲットに適した動画で丁寧に説明すべき内容を伝えていけば、来店時には「申し込むだけ」というレベルにまで到達することもできます。

▲YouTubeで販売した物件

 また、成果をチャンネルの登録者数や再生回数だけで計らないことも大切です。例えば、ある不動産会社のYouTubeチャンネルでは「山小屋ルームツアー」という動画が17万回再生されていますが、「ただ動画を見たい人」と「実際に購入を検討している人」が混在してバズった例です。再生回数だけ多くても購入には繋がりません。

―――しかし、YouTubeで発信を行うなら拡散力も必要ですよね。

 必要ですが、拡散させるのはYoutubeのAIがやってくれるので、AIに評価される戦略が必要です。他のSNSでチャンネルのURLを告知するのは避けた方がいいです。企業が売りたい視聴者の属性と、社員のFacebookのフォロワーは必ずしも一致するわけではありません。Facebookのフォロワーの中には、ゴルフや料理の動画を見たい人もいるかもしれません。そうした人がYouTubeチャンネルに流入すると、YouTubeのAIが混乱してしまい、物件を購入したいと思う人が動画コンテンツを視聴した時に正しい関連動画が表示されなくなってしまうのです。そうなると、こちらが情報を届けたいお客様にリーチできなくなってしまいます。大切なのは、ターゲットにこちらのコンテンツをしっかりと届ける土壌を作り上げていくということなのです。

【会社概要】

社名:サンキャク株式会社
設立:2018年6月
代表者:竹内竜太
資本金:550万円
事業内容:YouTubeチャンネルのコンサルティング、プロデュース(企画・撮影・分析・編集)、映像制作、SNSマーケティング支援など
本社所在地:神奈川県横浜市中区尾上町3-35 3F G
連絡先:info@sankyaku.com