AIが入金消込の照合パターンを学習 債権管理を効率化するサービス

2023年02月27日

 アール・アンド・エー・シー(東京都中央区)が提供する「V-ONEクラウド」は、AI(機械学習)による照合技術を活用した、債権管理における入金消込に特化したクラウドサービスです。売上データと入金データを自動照合して、仕訳作成まで行うことで、債権管理業務を大幅に効率化します。不動産業界においても導入が進んでいます。

アール・アンド・エー・シー / V-ONEクラウド

使うほどに入金消込の正確性が向上する

 企業が使用するシステムから「V-ONEクラウド」に売上データと入金データを取り込むと、一括で照合・消込を行います。企業の基幹システムや、業界特化型のシステム、銀行口座などから直接データを取り込むことが可能です。

 請求先名義と入金名義が違うなど、合致する組み合わせが確定しなかったものについては、入金額と一致する請求データを自動で検出して候補パターンを提案します。経理担当者はその中から正しい組み合わせを選択します。照合パターンをAIが学習するので、使うほどに自動照合率が向上します。未入金回収の作業負荷を軽減し、滞留する債権検知の正確性を向上させます。

▲AIが照合パターンを記憶する

 入金消込は、販売管理と会計とを繋ぐ重要で複雑な業務ですが、多くの企業において属人化しています。入金方法には銀行振込や口座振替など様々なパターンがあり、請求先名義と入金名義が一致しないケースや、カナ表記での振込などもあります。「入金件数が多くなると膨大な照合作業が発生します。お客様からは、会計システムなどに付随するオプション機能では対応できないケースが多いと聞いています」(営業企画部マーケティンググループ庄司卓拓さん)

 2016年のクラウドサービス提供開始から、これまでに累計1000社が導入しています(2022年11月現在)。業界や規模は問わず、在庫を持たず入金件数が多い企業に適したサービスです。「月の入金件数が100件を超えると、経理担当者は負担を感じることが多いようです」(営業本部 大阪営業グループ米田烈さん)。

不動産業界の複雑な入出金パターンにも対応

 入金消込業務が多く、イレギュラーな入出金パターンが生じる賃貸管理会社での導入も進んでいます。毎月300件のマンション管理組合への管理費請求が発生する会社では、マンション管理組合への管理費請求のシステム化を目的に導入しました。入金消込のほか、各金融機関への口座振替の依頼データ作成の一元化(オプション)にも活用しています。導入前は、各銀行のシステム上で請求を行っており、煩雑かつ属人化した業務になっていました。また、入金照合結果を『家賃管理システム』と『会計システム』両方にCSVデータを出すことで、仕訳の入力も効率化しました。

 そのほか、企業の課題感により様々なケースで活用されています。オーナーへの賃料と修繕費との差額を相殺した上での支払・請求、オーナーへの入金状況のレポート作成などです。いずれも属人化しており、複雑かつ負担の大きい作業を業務効率化しました。

複雑化する債権を一元管理

 2023年1月には「債権計上機能」を実装しました。債権を計上するフローの中で、必要な機能を実装した網羅的な債権管理システムです。エクセルなどで管理する前受金の振替や残高管理、売上の締め作業や売掛金関連帳票などをデジタル化し、債権を一元管理します。基幹システムや受注管理システム(SFA)から売上データを取り込み、売上仕訳の作成・計上も可能です。

 債権管理は、支払い方法の多様化や月額制サービスの普及により、どんどん複雑になっています。経理業務の中でも債権管理・入金消込は、複雑で時間がかかる部分にもかかわらず、属人化しており、社内で負担を理解されにくい業務です。「未収が生じると事業に大きく響きます。債権を正確に把握してしっかり回収を行うことは、企業経営において重要なことです」(営業企画部マーケティンググループ庄司卓拓さん)

【サービス概要】
サービス名:V-ONEクラウド
価格:3万3000円/1ユーザー〜(別途初期費用)

【会社概要】
社名:アール・アンド・エー・シー
設立:2004年11月
代表者:高山 知泰
資本金:1億円
事業内容:Victory-ONEシリーズの企画・開発・提供・保守
本社所在地:東京都中央区東日本橋2-8-3 JMFビル東日本橋01 3階
連絡先:03-5835-2197