木材を土にする特殊加工技術の事業化 屋上スペースでの貸農園セット販売予定 

2022年09月02日

 建築資材の開発・販売を行う大建工業(大阪市)は、2023年4月よりオフィスビルやマンションの屋上を活用した貸農園「プチまち菜園」の提供を予定しています。同社が2021年に開発した木質培地『グロウアース』の展開、運営支援サービスが目的です。

▲屋上での貸農園や屋上緑化の利用を想定している
▲貸農園のほかに、菜園や花壇など、用途に合わせて活用できる

新規事業を社内で募り、実際に事業化を目指す

大建工業/ プチまち菜園

 大建工業では、端材や間伐材を有効活用するために、木材チップや木の繊維から製造したインシュレーションボードの開発を65年以上行ってきました。さらに、木材を土のように利用できないかと開発したのが『グロウアース』です。端材や間伐材などから作られた木材チップを粉砕処理し、特殊加工を施すことで、野菜や草花の栽培に適した木質培地になります。

 開発実験では、農家への協力を依頼して、通常の土とグロウアースの違いについて細かく調べています。特徴として、通常の土と比べて、水はけが良く、重さが約半分です。オフィスビルやマンションの屋上への運搬を考慮すると、建物の耐荷重面で軽量であるグロウアースは活用できそうです。さらに、原材料が木材のため、燃えるごみとして処理できます。

▲通常の土と比べると手が汚れにくい特徴もある

 プチまち菜園のセット内容はグロウアース、プランター、休憩用のベンチ、花木の種や苗などです。保守メンテナンスや貸農園の運営に関するアドバイスなども行い、東京23区内のマンション・ビルや商業施設のオープンスペースへの提案も予定しています。次世代事業開発部の秋葉裕太さんは、「木材から出来た土のメリットをどのように活かせるかを考えた。屋上緑化や貸農園としてのパッケージ商品は、利用希望者も具体的な導入イメージを持っている人が多い」と話します。

 同社では、社員から新規事業案を募る「個人提案型ベンチャー制度」を2021年より導入しています。プチまち菜園は、事業化検討テーマの第1弾として選出された、グロウアースを活用した事業化提案の一環です。

【商品概要】
名称:プチまち菜園
『グロウアース』原材料:バージン木材(針葉樹材)
商品特徴:プランター、ベンチ、栽培道具、什器、苗などのセット販売、設置場所に合わせたプランニング提案が可能
正式販売:2023年4月予定

【会社概要】
社名:大建工業
設立:1945年
代表取締役:億田 正則
資本金:153億円
従業員:(連結)3,965名(2022年3月31日現在)
事業内容:素材事業(エコ素材「インシュレーションボード、ダイロートン、MDF、ダイライト、畳おもて」の製造販売)、建材事業(内装建材及び住宅機器等の製造販売)、エンジニアリング事業(ビル・マンション・店舗の内装工事、住宅のリフォーム工事及びマンションリノベーション)
本社所在地:大阪府大阪市北区中之島三丁目2番4号 (中之島フェスティバルタワー・ウエスト)
連絡先:問い合わせフォームにて