クラスコ小村社長に聞いた「バーチャルツアーの撮影1000居室 非対面仲介を伸ばす方法」【書き起し】

2021年06月23日

 4月13日の『賃貸トレンドニュース』に出演したクラスコ(石川県金沢市)は2021年の繁忙期において、反響数を20年比117%、19年比では140%に伸ばした。ポータルサイトに掲載する写真の質を上げたことが、成果につながったという。

▲4月13日『賃貸トレンドニュース』に出演のクラスコ小村典弘社長(右)

仮想家具の導入で反響30倍

―繁忙期の成果はどうだったか?

 反響数が117%。去年も20%伸びているのでこの2年で約40%上がった。インターネットからのメール反響が特に多く、6割は自社サイトの『クラスコナビ』次いで3割が『SUUMO(スーモ)』。石川県では8割くらいが県内で移動するため、テレビコマーシャル(以下TVCM)や営業所などを通して名前を知ってもらっていることが、自社ブランドからの集客につながっている。TVCM以外は集客に費用をかけていない。

―コロナ禍対策として広告費を積んだのか?

 逆にTVCMを削った。2020年4月の緊急事態宣言で集客が半分になり、念のため節約してTVCMの金額も削った。結果的には回復したのでよかった。

―契約数はどうだったか?

 伸びてはいる。しかし、来店者数の伸びが反響数ほどよくはなく、20年比102.3%だった。

―契約は店舗とオンラインのどちらが多かったか?

 緊急事態宣言時は75%を非対面で案内したが、この繁忙期は非対面で現地を見ず部屋を決める人が10%。県内の人は店舗に戻ってきていて、県外の人は非対面希望が多い。忙しい人、遠方の人以外は店舗に来る。非対面に力を入れているが、繁忙期は9割が店舗での契約だった。

―反響が伸びた要因は?

 サイトに掲載する写真の質が上がった。内観には『NODALVIEW(ノダルビュー)』というAIで写真を自動生成できるアプリを使用。AIで最大11枚の明るさの違う写真を撮って1枚に合成するので、暗くてもきれいに撮れる。もう一つはバーチャルステージング(仮想家具)の『フォトステ』。通常の写真の場合、平均反響率は0.44%。『フォトステ』を入れると12.85%と30倍になった。暮らし方がわかる、写真を見るだけでワクワクする、というのが大きな違い。

―契約数が伸びなかった理由は?

 社員数人の退職で現場のオペレーションが回らなくなった。もし社員がいたら絶対に上がっていた。

―2021年4月時点の経営課題は?

 バーチャルステージングで全室を撮り切る。今現在は1000室撮っているが、顧客対応が楽になる。データがスキャニングされているので、寸法などの質問にも写真を見れば対応できる。説明や動画も入れることができるので、一度作ってしまえばすべて案内可能。今回の繁忙期では案内件数が3.5から2.5に下がったので、絞り込みに使えている。