リモートスタッフが経費処理・支払請求業務を代行

2022年12月21日

メリービズ(東京都渋谷区)が提供する『バーチャル経理アシスタント』は、経理業務をオンラインで代行するアウトソーシングサービスです。経費の精算や請求書の発行など、企業内のあらゆる経理業務を代行します。導入のメリットについて、山室佑太郎社長に話を聞きました。

▲リモートスタッフがあらゆる経理業務を代行する

メリービズ / バーチャル経理アシスタント

累計850社が利用 経理部門のアウトソーシングサービス

――『バーチャル経理アシスタント』とはどのようなサービスですか?

 企業内で行われる経費精算や帳票・仕訳入力、請求書の発行、売掛・買掛管理、月次決算などあらゆる経理業務をリモートで代行するサービスです。企業に応じた処理を行えるよう、平均1カ月かけて導入準備と設計を行い、運用を開始します。新たなシステムや会計ソフトを導入することなく、簡単にアウトソーシングを始めることができます。

▲メリービズの山室佑太郎社長

――企業の経理のアウトソーシングには、大規模な準備が必要なのではないですか?

 安心してアウトソーシングできるように、企業の規模に応じて2~10名の専属チームを結成します。それ以上で対応するケースもあります。チームは導入コンサルタントと経理のプロフェッショナル人材で構成されており、企業ごとの細かなニーズに応える体制を構築します。

 全国1400名のリモートスタッフが日々の経理業務を行います。いずれも経理実務3年以上、簿記2級以上のスキルを有するプロ人材です。リモートスタッフの8割が女性で、育児や介護などの事情からフルタイムの正社員で働くことができない人たちですが、当社のサービスは都合の良い時間を選んで働くことができるため、優秀なスタッフを揃えることができました。

――リモートワークならではの功名ですね。

 導入企業側にとってもメリットがあります。経理に人材派遣を利用していた企業の例ですが、急な病欠やコンディション不良による欠員が生じ、安定稼働ができていませんでした。弊社のサービスを導入し、リモートスタッフでの対応に切り替えたことで、人件費のほか、人的マネジメントのコストも削減できるようになりました。欠員が出ても、リモートスタッフなら、すぐに代替のスタッフを探すことができます。

▲全国各地の経理プロ人材による専属チームを結成する

――どんな企業が利用しているのでしょうか?

業界や業種、企業規模を問わず様々な企業にご利用いただいていますが、次の3つの課題を抱えている企業が多いです。1つ目は、月末・月初や決算時に業務過多となって残業が増加する「繁忙期集中型」。2つ目は、経理人材が不足している「人材難型」。経理人材は採用が難しくコストもかかる上、派遣・契約社員で補っても定着率は高くありません。3つ目は「業務属人化型」です。経理業務は人によって判断が異なるケースが多く、仕組み化することが難しいため、負担が偏ってしまう傾向にあります。

これら3つの課題は、いずれも経理人材がルーティン業務に追われ、やるべき業務に集中できない状態に陥るという問題があります。ルーティン業務をアウトソーシングすることで、日々の経理業務が滞りなく進み、経営状況が見える化されるので、事業成長につながる業務に専念できるようになります。

――不動産業界でも経理に課題を抱える企業は少なくありません。

 不動産の経理は専門性が高い業務です。物件の管理やオーナーとのやり取り、契約の更新、入退去の管理、清掃の手配といった様々なルーティンをこなしながら、月次の締め作業なども行っています。こうした不動産業特有の業務状況をコンサルタントと一緒に整理した上でアウトソーシングすることで、ルーティンに追われることなく本来やるべき業務に集中することができます。

経理のアウトソースにより、業務効率化と人的コスト削減を実現

――実際にサービスを導入した企業の事例を教えてください。

 1社目は、ITシステムの開発会社です。会社の成長に伴い経費精算の業務量が増加し、経理部署の残業時間が増加している状態でした。経費精算システムが導入されていましたが、経費処理の仕方が属人化していたため、入力情報の精度が低く、問題は解決されていませんでした。

弊社サービスの導入にあたり、まずは導入コンサルタントと共に曖昧だった経費処理ルールを明文化しました。これにより、リモートスタッフによる情報入力の精度が向上し、期間内に精算処理を完了できるようになり、経理担当者も当初4人でしたが2人で対応ができるようになりました。

 2社目は、ITサービスを展開する企業です。取引先の増加によって残業が定常化しており、支払・請求処理だけで業務の4割を占めている状態でした。一方、こうした業務は月末・月初に集中するため、派遣社員を増員することに躊躇しており、なかなか改善が進まない状況に陥っていました。 しかし、弊社サービスの導入により支払・請求処理にかかる手間が大幅に削減され、それまで5日かかっていた処理業務が2日に短縮されました。

 3社目は専門商社です。こちらも一か月のうち数日だけにルーティン業務が集中しており、派遣社員で対応していたのですが、急な欠勤などで社員が対応することも多く、本来の業務に集中できない状態に陥っていました。こちらも弊社サービスの導入によって突発的な業務量の増加にも耐えられる体制を構築することに成功し、年間2000万円以上の人件費削減につながりました。

――経理業務は専門的なので、第三者にコンサルティングしてもらうことも重要ですね。

 そうした声も多かったので、2022年6月から『メリービズ経理DX』というコンサルティングサービスを開始しました。クラウド会計ソフトの導入・運用や業務プロセスの変革、連結決算など、『バーチャル経理アシスタント』だけでは解決しづらい課題にも対応します。公認会計士や税理士、ビジネスコンサルタントのほかITスペシャリストなどのプロ人材がサポートし、単なる業務デジタル化だけではなく、真の業務効率化や会計データをもとにした良質な経営判断の実現をサポートします。電子帳簿保存法など制度改正もフォローするので、あらゆる経理課題にも立ち向かえる体制を構築できます。

▲プロ人材が経理DXに関する課題解決の支援を行う

企業に共通する「経理の痛み」を事業化

――なぜ、こうした経理サービスを展開するようになったのですか?

 このサービスは、創業者の工藤博樹取締役が個人事業主としてコワーキングスペースで働いていたときに始めたものです。2011年の創業時には、個人事業主向けのレシート入力サービスを提供していました。レターパックにレシートを詰め込んで郵送してもらい、それを安価に、素早く、正確にデータ化するサービスで、月額2980円で提供していました。

 しかし、当時の彼は日々の経理作業に追われて、本来やるべき仕事に集中できない状態にありました。業務軽減のため、経理業務をクラウドワーカーに委託し始めたところ、同じコワーキングスペースで働く会社からも、経理業務のアウトソーシングを依頼されるようになりました。自分と同じように「経理の痛み」を感じる企業が多いと実感した工藤は、このアウトソーシングサービスを事業化することにしました。

 さまざまな顧客にヒアリングする中で、月末・月初に業務が集中する課題や、経理人材の採用難の問題を多くの企業が抱えていることを知りました。こうした課題を解決するために、『バーチャル経理アシスタント』の前身となるサービスを2017年にリリースしました。

 現在では不動産業界を含む累計850社が弊社サービスを利用しています。以前は10~20名ほどの企業がターゲットでしたが、現在は数百名規模の上場企業にも対応できるようになりました。

【概要】
名称:バーチャル経理アシスタント
価格:月額15万円〜

【会社概要】
社名:メリービズ
設立:2011年7月
代表取締役社長:山室佑太郎
資本金:5億296万9500円
事業内容:経理アウトソーシング・コンサルティングサービス
本社所在地:東京都渋谷区円山町28-3 いちご渋谷道玄坂ビル2階
連絡先:電話03-6880-9674