【団地×学生】「団地は古い」はもう古い? 大学生が考案したリノベーション部屋に隠された、空室対策に使える5つのアイデア

2022年03月07日

山本悠輔(全国賃貸住宅新聞)

 団地と聞いて、皆さんはどのようなイメージを持つでしょうか。「何か古そう」「今の生活に合うのかな」といった印象を持たれる人も多いと思います。そんな団地を全国で約75万戸を管理するUR都市再生機構が、若年層の呼び込みを図るため、様々な取り組みを進めています。今回、京都市内の「UR男山団地」で、大学生が考案したリノベーション住戸が2月に完成したので、取材してきました。

 「UR男山団地」は、京阪バス「中央センター前」駅から徒歩2分の場所にあります。1972年に竣工し、147棟4589戸をUR都市再生機構が管理しています。男山団地では、UR・八幡市・関西大学が連携した「男山地域まちづくり連携協定」を2013年に締結以降、団地再生に取り組んでいます。

 「男山地域まちづくり連携協定」の一環として、関西大学の学生が入居者からの居住ニーズをくみ取ってリノベーション住戸として反映しました。住戸に見られる工夫が、賃貸住宅の空室対策にも活用出来るアイデアばかりでした。

玄関から続く広い土間


 玄関に入って右手に広い土間空間を設けています。自転車や趣味のスペースとするのもよし、リラックスして友達と談笑する場所にするのもよし、ライフスタイルに合わせて様々な用途が実現できますね。広い土間は最近賃貸住宅でも求める声をよく聞きます。

押し入れを使ったワークスペース

 施工前には押し入れだったスペースを活用して、広々としたワークスペースとして提供しています。2つの棚をそのまま残してテーブル代わりにしていますね。間の柱は色を付けることでアクセントとしての役割をはたしています。

部屋を区切らない空間


 扉やドアで間取りをはっきりと区切ることなく、解放感を出しています。その中でも、構造上残ったままの壁を使うことで、各部屋の個室性も保たれますね。小さい子どもがいる家庭には居心地の良い空間ではないでしょうか。

光が差し込む水回り

 水回りはプライベートを保つために、スモークなどを使いがちです。ただ、この住戸は単身用ということもあり、浴室と洗面は透明なガラスを用いています。外からの光も差し込み、明るい水回りに仕上がりました。同棲や2人入居となった時には、カーテンを使えば問題ないですね。

いかがでしたでしょうか。学生の自由な発想と、実際の入居者の声をかけ合わせることで、ニーズが高く、かつ独自性のある部屋となっていました。ちなみに今回リノベーションした2戸は、無事に申込が入ったそうです。

団地と学生から生み出される新しい化学反応に、今後も注目してみてくださいね。