家族信託の財産管理をIT化する、サブスクのアプリ

2024年10月08日

 トリニティ・テクノロジー(東京都港区)は、家族信託の受託者の財産管理をサポートする家族信託専用アプリ「おやとこ」を提供しています。信託する財産規模により異なりますが、月額2728円(税込み)から利用できます。同社に寄せられる家族信託に関する問い合わせは、年間数千件を超えるといいます。約780社と提携を行い、主に金融機関との連携を通じて「おやとこ」を広めています。

▲家族信託専用アプリ「おやとこ」の画面イメージ
▲家族信託の仕組み

地主や経営者など、子ども世代の財産管理をサポート

トリニティ・テクノロジー / おやとこ

 「おやとこ」は、家族信託の受託者の財産管理をサポートする家族信託専用アプリです。家族信託とは、自分の財産の管理権限を家族などに任せることで、認知症による資産凍結を防ぐ制度です。受託者となる子どもの多くは現役世代で、財産管理に関わる時間を多く割けず、サポートを求めていました。提供するトリニティ・テクノロジーに寄せられる家族信託に関する問い合わせは、年間数千件を超えるといいます。

 「おやとこ」のターゲットは、アッパーマス層以上の地主や経営者です。彼らは、親が認知症を発症し、資産が凍結されて初めて問題に直面するケースも多いといいます。一方、家族信託におけるリスクは、ほかの兄妹が知らないうちに、受託者となった親族が資産を使い込んでしまう可能性です。銀行もこの点を重く見て、家族信託の案内をちゅうちょしてきましたが、「おやとこ」では、資産の保有者と関係する家族がアカウントを設定すると、信託財産の状況をアプリで確認することができ、あらかじめ設定した金額以上の引き出しがあれば、メールで通知もされます。資産を安全に管理できる点が評価され、提携銀行が増えました。

 磨社長が家族信託と関わるようになったのは、司法書士をしていた2016年のこと。きっかけは「80代の父親が持つ土地を売りたい」という50代男性からの相談でした。土地が売却できるまで父親の判断力が残されているかが懸念され、「今こそ、家族信託が必要だ」と取り掛かりました。

 これまで、提携パートナーは金融機関や全国の税理士事務所がメインでした。今後は不動産業界との提携も視野に入れています。対象顧客は、金融資産だけでなく不動産も併せ持つ人が大半だからです。同社は2024年、約780社と提携を行っています。家族信託のサポートを通じて、早い段階で子ども世代と接点を持つことができます。

【商品概要】
名称:おやとこ
費用:[初期費用]家族信託組成サポート費用 最低5万5000円(税込み)〜(信託する財産の金額を基に算定。1億円までは1.1%、1億円超〜3億円までは0.55%など。契約書作成は登記の司法書士費用が別途発生、信託財産に不動産が含まれる等の場合はオプション価格が必要)、[任意継続サポート]月額2728 円(税込み)〜(家族信託の契約締結後の専⾨家に家族信託の運用⽅法・不動産の処分・税務・相続対策などの相談が可能、家族信託の運用ができる「おやとこ」アプリも利用可能)
その他:「おやとこ」は家族信託の帳簿や報告書の自動生成が可能(銀行口座との自動連携や、レシートのAI読み取りにより、簡単に収支の記録や報告書の作成)

【会社概要】
社名:トリニティ・テクノロジー
設立:2020年
代表取締役:磨 和寛
資本金:18億2988万円(2023年12月現在、資本剰余金を含む)
事業内容:認知症による資産凍結から親を守る「おやとこ」、家族信託・相続などの専門家コミュニティ「TRINITY LABO.」、相続手続きサービス「スマホde相続」、おひとりの高齢者に家族の代わりにずっと寄り添う「おひさぽ」
役職員:約120人(2024年6月現在)
本社所在地:東京都港区新橋2-1-1山口ビルディング1階
連絡先:電話03-6268-8805