高卒社会人向けデジタルマーケティング研修を実施 就職先の選択肢を増やす

2022年03月19日

 高校生の就職支援サイトを運営するジンジブ(大阪市)が、デジタルマーケティングの研修事業を行うDMU(大阪市)を、2021年末に子会社化しました。人材を募集する企業が、DX・ITスキルを重視していることが理由ですが、高校生の就職活動において、学校とつながりが強い限られた企業から選ぶ慣習が今も色濃い実態を、学生主導に変えるための布石でもあります。

▲DMUのデジタルマーケティング研修

 ジンジブは、高卒社会人を求人募集する企業の情報を高校生向けに発信し、就職先の選択肢の拡大を呼び掛け、早期退職した高卒社会人の再就職にも力を入れてきました。DMUの子会社化により、高校生や再就職先を探す高卒社会人にデジタルマーケティング研修を提供し、求人企業とのマッチング制度を上げることを目指します。

 研修では、実践経験を持つ講師による基礎講座と、上級者向けの実践講座を用意します。両講座とも150分の講義7回で構成されており、未経験者を即戦力として育成する内容になっています。

高卒社会人の3年以内離職率は40%
学校主導の就職先選びが背景に

 厚生労働省の新規学卒者離職状況の調査によると、高卒社会人の入社1年以内の離職率は17.4%で、大卒社員の11.4%に比べて高くなっています。入社3年以内で見ると約40%が離職しており、企業と学生双方にとって、望ましくない状況です。また、短期間で退職した高卒社会人の再就職のハードルは高いといいます。「採用担当者から『まだ、働く準備ができていない』と厳しい目で見られやすい」とジンジブ社長室長の河合大輔さんは話します。

ジンジブ社長室長の河合大輔さん

 高卒社員が早期離職する背景には、人材を募集する企業側が求めるものと、就職先を探す高校生の間にミスマッチがあるといいます。「高卒社員を求人募集する企業の情報は、長い間表に出てきませんでした。そのため、学校とつながる非常に限られた候補企業から選ぶ慣習が、今も強く残っています」(河合さん)。やりたい仕事、イメージしていた社会人生活と大きく異なる状況に就職してから気づき、退職する人が多いといいます

新人社員向けの研修も強化

 企業側が用意する研修体制にも課題があるようです。多くの職場が採用するOJT(※)では、入社2、3年目の社員が指導に当たることが多いのですが、責任感の強い先輩社員ほど新人育成の難しさに悩み、離職してしまう人もいるといいます。「自分が指導を受けた経験がないため、何を教えればよいのかわからずに悩む人が多いのです」(河合さん)。

ジンジブが開催する合同企業説明会「ジョブドラフトfes」

 ジンジブでは、高卒社員の入社後研修にも注力します。専属の担当者が研修を通じて新卒社員の心情を把握し、企業に状況を伝えて早期離職を防ぐことを目指します。また、入社2、3年目の社員向けに行うOJTの実践方法や、マネージャー候補者向け研修といった内容も、提供を準備しています。

※ OJT:上司や先輩社員が新入社員に向けて、実際の業務を通じて行う研修

「OJTには、単に仕事を教えるだけではなく『育てる』という観点が必要です。例えば、計画的に失敗させて、気づきを与えることも成長につながります。ノウハウを知らなければ、先輩社員は先回りして新入社員に失敗させないようにするし、失敗すれば双方がダメージを受けてしまいます。正しいOJTを行うノウハウが必要です」(河合さん)

【会社概要】

社名:ジンジブ
設立:2015年
代表:佐々木満秀
資本金:9,800万円
事業内容:高卒採用支援サイト運営
本社所在地:大阪府大阪市中央区安土町2-3-13 大阪国際ビル14階
連絡先:電話03-5777-2679