鍵不要で入退室可能になる顔認証プラットフォーム

2022年06月28日

　DXYZ（東京都新宿区）が展開しているのは、様々な事業者のサービスを１つの顔認証IDで繋げるプラットフォーム『FreeID（フリード）』です。スマートフォンの専用アプリで顔を登録すると、マンションやオフィスの入室や買い物時の決済など連携する様々なサービス・システムを顔認証で実行することができるようになります。賃貸住宅での導入事例について、木村晋太郎社長に話を聞きました。

鍵の持ち忘れ・紛失リスクを低減　仲介の鍵の受け渡しも不要　業務効率化へ

DXYZ（東京都新宿区）／　FreeID（フリード）

―――FreeIDとはどのようなサービスなのでしょうか。

　スマートフォンの専用アプリで自身の顔を登録するだけで、様々な事業者のサービスを顔認証で利用することができるサービスです。賃貸住宅のエントランスや自室のドア、郵便受けや宅配ボックスなども顔認証で開閉できるようになります。

　導入するには顔認証を設置したい場所にタブレットを設置してセットアップするだけ。鍵を持ち忘れたり紛失するリスクもなくなり、入室時にいちいち鍵を取り出す必要もなくなります。来客に対して一時的に認証を付与する機能も付いているので、入居者が不在でも友人や家族を招くことも可能です。2022年３月には特許も取得しました。

―――すでに賃貸住宅で導入している物件もあるのでしょうか。

　2022年3月現在、計18棟で導入されています。東急東横線の学芸大学駅にある『クレイシアIDZ学芸大学』ではエントランス・各戸のドア・エレベーター・郵便受け・宅配ボックス・駐輪場・駐車場で顔認証を導入しています。入居者からは「鍵の管理が手間だったことに気付かされた」という声を聞いています。

―――管理会社や家主にとってもメリットがあるのでしょうか。

　内見時の鍵の受け渡しが不要になるなど、業務効率化や経費削減につながります。仲介スタッフの顔を登録して一時的な入室許可を付与すれば、鍵を持たなくても入室できるようになります。また、家賃アップも期待できます。　『クレイシアIDZ学芸大学』は周辺の家賃相場よりも高い賃料ですが、類似物件よりも早く入居が決まりました。住み替え時の「引っ越し時に重視すること」についてのアンケートでは、価格や立地と並んで「顔認証」が上位にランクインしました。

様々なサービスを繋げて利用できる場所を広げる

―――便利なサービスですが、鍵を持たないことに対する不安などはないのでしょうか。

　入居者の中には、鍵がない生活に対する不安を持つ人も若干名いました。しかし、顔認証サービスが広く普及している中国では、公共交通機関の利用や決済でも顔認証が採用されています。中国は国家主導で顔認証の導入を進めているので日本では同じようなスピードでは広がらないかと思いますが、本人の意思を尊重した上での導入を進めれば、非常に便利なソリューションになると思っています。

　現在も様々な顔認証サービスがありますが、多くの事業者は顧客を囲い込む発想からサービスを展開しています。そのため、利用者はサービスごとに顔の登録を行わなければならず、利便性に欠けるものになっています。そこで当社では、顧客を囲い込むのではなく、一つの顔認証で生活のすべてが繋がるようなサービスにしたいと考えています

―――様々なサービスを繋げるプラットフォームということですね。

　今はまだ利用できる場所が少ないですが、マンションやオフィス、テーマパークなど利用できる「点」をもっと増やし、モビリティという「線」で繋ぐことで、プラットフォームという「面」が出来上がります。業界最安値でサービスを提供して「点」を増やして、もっともっと「面」を広げていきたいと思っています。

【概要】

名称：FreeID（フリード）
価格：要問い合わせ

【会社概要】

社名：DXYZ株式会社
設立：2020年8月
代表者：木村晋太郎
資本金：5500万円
事業内容：顔認証プラットフォーム事業
本社所在地：東京都新宿区西新宿6-5-1 新宿アイランドタワー41階
連絡先：電話03-4477-6589