初期投資ゼロで太陽光発電システムを導入　賃貸マンションの環境性と防災性を強化

2022年06月16日

 　東京ガスグループのヒナタオエナジー（東京都港区）は、首都圏の賃貸マンションに災害時でも電力の供給が可能となる「太陽光エネルギーサービス」の販売を強化しています。太陽光で発電した電力を、平時は共用部に、非常時は専用部（居住者向け）にも供給することが可能なシステムです。初期費用を抑えて、物件に環境性と防災性という２つの付加価値を提供します。

賃貸マンション向け太陽光発電システム ／ ヒナタオエナジ―（東京ガスグループ）

太陽光発電システムを使った自家発電／防災性を物件の付加価値に

　ヒナタオエナジーが賃貸マンションの防災性に注力するのは、近年の自然災害による停電の発生頻度の高さにあります。「入居者は非常時の安心面から、投資家は資産価値につながる市場評価の観点から、非常用電源の導入を求めています」( 再生可能エネルギー推進部長　染川貴亮さん)。入居者や投資家の意向を受け、賃貸マンションデベロッパーや、ファンド、賃貸管理会社への提案物件も増えています。

　投資用マンションを開発するシーラ（東京都渋谷区）と協業し、環境性と防災性を備えた新築マンションを開発しています。太陽光パネルで発電した電力を共有設備に供給し、災害時には入居者がスマートフォンなどの充電を行えるUSBコンセントや蓄電池、共有部分の照明に給電します。

　年間の一次エネルギー消費量を20％以上削減する環境に優しいマンションとして、「ZEH-M（ゼッチ・マンション）Oriented」の認証を取得しています。

　一方、首都圏で、太陽光発電システムを搭載する賃貸マンションの比率は高くありません。「オフィスビル等に比べて大きな屋根を持つ建物が少なく、また高さや重量の制約を受ける建物も多く、一般的な太陽光パネルの設置が困難であったため、太陽光発電事業者の営業対象から外されていました」（染川さん）

　ヒナタオエナジーでは、首都圏の賃貸マンションでも導入しやすい、軽量薄型の太陽光パネルを設置します。200平方メートル以上の屋根があれば、設備、設置費用（※）といった初期費用を負担することなく、さらに20年間の一括契約により、期間中のメンテナンスや故障対応も東京ガスグループのヒナタオエナジーが行います。導入時だけでなく、導入後の維持管理リスクも大幅に低減できることで安心感とともに安定した物件管理をすることが可能になります。

※条件によっては、一部初期費用を負担するケースもあります。詳細は現場調査をもって決定します

共用部で使用する電力を変えるだけ

　家主もしくは管理会社が、発電した電力を日常的に共用部の電力として使用できます。使用した電力は、ヒナタオエナジーから20年間固定された電力単価で購入することができます。また、契約満了後に、設備は無償提供されます。無償提供後のメンテナンスについて、ヒナタオエナジーが継続して維持管理を行うサービスを検討しています。

　共用部には非常用コンセントを設置します。災害による停電などで、電力会社の電力供給が止まった場合、非常用電源として使用することが可能です。また、蓄電池を設置すれば、悪天候時や夜間用の電力を確保することもできます。なお、ニーズによっては専用部への非常用電源の設置も可能です。

　家主や管理会社は、初期投資とメンテナンスの手間なく、賃貸マンションに非常用電源を備えることができます。「共用部の電気料金の支払い先の一部をヒナタオエナジーに変えるだけで、環境性だけでなく、防災性を備えた物件にすることができます」（染川さん）

首都圏のエネルギー会社だからやれること

　東京ガス100％出資で設立されたヒナタオエナジーは、2020年に太陽光エネルギーサービスの事業を開始しました。事業開始にあたっては、首都圏の賃貸マンション物件における太陽光パネルの導入率の低さに注目しました。

　首都圏の賃貸マンションでは、設置したくても『高額な導入費用』『建物の制約を受けて設置が難しい』『メンテナンスが煩雑』といった事が導入のハードルになっています。さらに世界情勢を受けて、調達コストも上がっています。

　東京ガスグループには、事業活動を通しCO₂排出量ゼロに挑戦し、脱炭素社会への移行をリードするというビジョンがあります。市場規模が大きい首都圏の賃貸マンションに太陽光パネル設置を推進することで、環境への貢献を進めます。